一般皮膚科

乾癬の治療

たかはし皮膚科クリニックの乾癬治療

もっと知ってほしい「乾癬」

「乾癬」は世の中の誰もが知っている病気ではありません。
しかし、決して稀なものではなく、全国で10万人以上の患者さんがいると推定されています。人口の比率でいうと0.1~0.3%の方が乾癬であるとされています。
欧米では一桁多く、人口の数パーセントが乾癬だそうです。そして「よくある病気」であるため、日本よりも乾癬に対する社会の理解が進んでいるようです。

日本では、

  • 患者さんの比率が少なく、社会の理解が不十分であること
  • 「かんせん」という読み方から、ときに「感染症」ではないかと誤解を受けることがあること
  • 温泉などの公共の浴場を利用することが、生活文化に溶け込んでいること

などによって、患者さんが自身の皮膚病について大きなストレスを感じていることが多いようです。

 乾癬は、決して人にうつることのない病気です。感染症ではありません。
ごく普通に接して、全く問題はありません。


わたしは、乾癬に関する社会の理解が進み、乾癬患者さんがストレス少なく通常の生活を送れるようになることを願っています。
同時に、皮膚科医として乾癬に対する適正な治療を提供し、少しでも患者さんの生活が快適になるよう努力を続けたいと考えております。

乾癬とは?

乾癬とは、皮膚に発赤(紅斑)、白いカサカサ(鱗屑)が生じる慢性の皮膚病です。
症状が進むと発疹の数が増え、大きくなっていきます。
痒みは通常は少ないのですが、中には強い痒みを感じる方もいます。
なかなか治りにくく、いったん発症すると数年から数十年も続くことがあります。
残念ながら根本的治療法が確立しておらず、多くの患者さんが悩んでいます。

 

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

「尋常性」とは「普通の」または「ありふれた」という意味で、乾癬といえば通常「尋常性乾癬」のことを指します。乾癬の90%を占めます。
体の一部または広い範囲に、カサカサする鱗屑をともなう発疹が広がります。

 

関節症性乾癬

乾癬の皮膚症状に加え、関節炎を伴います。
症状が進行すると関節の変形を生じる場合があります。

 

膿疱性乾癬

乾癬の発疹のなかに膿疱(ウミが溜まった発疹)を伴い、発熱、全身倦怠など重い全身症状を伴います。最も重症型の乾癬です。

 

滴状乾癬

風邪などの症状をきっかけに、小さな乾癬の発疹が現れます。尋常性乾癬よりも若年者に多い傾向があり、適切な治療によって早期に治癒することもあります。

尋常性乾癬について

原因は?

白血球などの免疫システムの異常が乾癬の発症と関連があることが明らかになりつつあります。また遺伝子に関する研究も進められていますが、詳細な発症原因はまだ分かっていません。
生まれながらの遺伝的傾向と、さまざまな環境因子(感染症、薬剤、肥満、ストレス、食生活など)が組み合わさり、複雑なメカニズムを経て発症するようです。

 

男女比は2:1

統計的には男性の患者さんが多く、男女比はおよそ2:1です。

 

発症年齢は中年

発症年齢は、幼児から高齢者までまちまちですが、一般的には中年期の発症が多いようです。

 

乾癬ができやすい場所

肘、膝、腰、頭、手など、比較的皮膚がこすれやすい場所に生じます。

乾癬の治療法

残念ながら根本的な治療法が開発されていないのが現状です。
しかし適切な対症療法を組み合わせ、あとで説明する生活上の注意事項を守るようにすることで、多くの患者さんは乾癬の症状をある程度抑えることができます。
「いますぐ治癒させること」は困難ですが、「日常生活上の支障を減らし、すこしでも快適に過ごすこと」を目標に治療に取り組んでいただきたいと考えています。

 

ステロイド外用剤による治療

炎症を抑える作用のあるステロイド外用剤を塗ることで乾癬の症状をある程度抑えることができます。
強力なステロイド外用剤を長期間使うことで、皮膚が薄くなる、ヘルペスや吹き出物などの感染症が生じやすくなる、といった副作用の恐れもあるので、症状に応じて薬のランクを調整しながら使用する必要があります。

 

ビタミンD3外用剤による治療

活性型ビタミンD3製剤と呼ばれる塗り薬が乾癬に有効です。
ステロイド外用剤より副作用が少ない優れた治療薬です。

  • 効果が現れるまでにステロイド外用剤よりも時間がかかることが多い
  • 費用がステロイド外用剤に比べ数倍かかる
  • 広範囲に塗る場合は電解質のバランスに注意する必要がある

など気を付けるべき点もありますが、効果と副作用のバランスでは最も優れた治療法と言えます。

 

紫外線による治療

UVA、UVBと呼ばれる紫外線を照射する治療が有効です。
週1~2回の通院を続けながら患部に紫外線を照射します。治療を継続することで徐々に症状が改善していきます。
治療後に色素沈着と呼ばれるシミが生じることがある、免疫抑制剤との併用が難しい、などの問題点があります。
当院においては、エキシマライト(VTRAC)と呼ばれる紫外線治療器があります。

 

チガソン内服による治療

ビタミンA誘導体の「チガソン」が、重症の乾癬の症状に大変有効です。
口唇炎、皮膚が薄くなるなどの副作用が起こりやすいこと、一定期間避妊をする必要があること、薬価が比較的高いことなどの問題もあります。定期的な血液検査も必要です。
塗り薬、紫外線治療では改善が得られなかった方にとっては有効な選択肢です。
当院においても重症の乾癬患者さんに処方することがあります。

 

ネオーラル内服による治療

「ネオーラル」(シクロスポリン)と呼ばれる免疫抑制剤が重症の乾癬に有効です。
免疫抑制剤とは、免疫の作用を抑えることで、乾癬、リウマチ、臓器移植後の拒絶反応などを抑える薬剤です。
効果的な治療薬ですが、腎機能障害、高血圧を生じることがあります。
慎重な管理が欠かせませんので、申し訳ありませんが当院では対応しておりません。免疫抑制剤の治療が必要と思われる重症の乾癬の患者さんは、北海道大学医学部付属病院など、高度な乾癬治療が可能な札幌の総合病院を紹介させていただきます。

 

レミケードなど生物学的製剤による治療

重症の乾癬患者さんの治療のために生物学的製剤が保険適応になっています。
高価な治療薬であり、副作用にも十分な配慮が必要ですが、有効性は高いとされます。
厳格な管理が必要であり、わたしの知る限り苫小牧で生物学的製剤による乾癬治療を行っている皮膚科の医療機関はありません。(日本皮膚科学会のホームページによると、乾癬治療薬として生物学的製剤の使用を承認された施設は、残念ながら苫小牧にはありません)
重症の乾癬患者さんで、この治療の適応があると思われる方は、北海道大学医学部付属病院を紹介させていただきます。

日ごろ気をつけたいこと

皮膚の摩擦、刺激を避けましょう

乾癬の発疹は皮膚を摩擦することで誘発されます。これをケブネル現象といいます。肘や膝に左右対称に乾癬の発疹が生じやすいのも摩擦と無関係ではありません。
何気なく乾癬の発疹を擦ったり、鱗屑(カサカサ)をはがしたり、ゴワゴワした衣服を身に着けるのは、乾癬を誘発することになるので、出来るだけ控えるようにしましょう。入浴の際は硬いタオルを避け、ゴシゴシ擦らないようにしましょう。

 

食事に気をつけましょう

肥満になると乾癬が悪化しやすくなります。また辛い物、熱いものを食べると、発汗などにより痒みを誘発します。野菜や魚もバランスよく摂取することが望ましいとされています。

 

タバコを控えましょう

タバコは乾癬の悪化因子となります。
出来れば禁煙しましょう。

 

規則正しい生活をしましょう

不規則な生活、不摂生、ストレス、感染症は乾癬の悪化原因になります。
ゆとりある生活を心がけましょう。

 

紫外線はある程度有効

適度な紫外線は乾癬の症状を軽くします。乾癬は夏場に改善し、紫外線を浴びる機会の少ない冬に悪化する傾向があります。急激な日焼けは避けるべきですが、無理なく適度に紫外線を浴びるのは乾癬に対して有効です。

当院の乾癬治療

スキンケアの指導

当院に来院される患者さんは、すでに医療機関で何らかの治療を受けたことがある方が多いようです。
「日ごろ気を付けたいこと」で説明した日常の注意事項を守っていただくことが治療の前提になります。
正しいスキンケアを実行してもらうだけで、治療薬を変更しなくてもある程度乾癬を改善できる場合があります。

 

塗り薬による治療

当院における乾癬治療の基本は塗り薬です。
ステロイド外用剤、ビタミンD3外用剤、必要に応じて保湿剤を処方し、症状のコントロールを目指します。
強力な治療を希望される患者さんもおられますが、チガソン、紫外線治療などの強力な治療は、「強力であればあるほど、副作用、治療費用、通院頻度などの負担が増えます」と説明させていただいております。
正しいスキンケアと適切な外用剤治療を行っても十分な効果が得られなかった患者さんについては、効果(ベネフィット)とコスト(費用)とリスク(副作用)を総合的に判断して強力な治療をお勧めすることもあります。

 

VTRACによる乾癬治療

当院における紫外線治療は、塗り薬で改善が不十分な方にお勧めしている治療法です。
VTRACは乾癬に有効な特定の紫外線波長の光を照射する装置です。
従来の機器に比べ数百倍の出力が出せるので、肘や膝などの治りにくい乾癬の発疹に有効です。
個人差はありますが、数回から十数回の治療で乾癬の浸潤(こわばり、腫れ)、鱗屑(カサカサ)が大幅に改善します。
ただし、初めから強い光を当てると、やけどを生じる恐れがあるので低出力から開始し、問題がないのを確認しながら出力を上げていくので、はじめて治療する場合は効果の立ち上がりに時間がかかることがあります。

ある程度発疹が改善するまでは週1~2回の通院をお勧めしています。
数回から十数回である程度改善した後は、塗り薬中心の治療に戻し、数週間に1度の通院となります。
数ヶ月経って悪化傾向が見られた場合は、追加的な治療を数回行うことがあります。

紫外線治療は乾癬を完治させるものではありませんが、塗り薬のみでは十分に症状を抑えきれない患者さんの補助的治療、代替治療として大変有効です。

VTRACによる紫外線治療の費用は1回1,020円(3割負担、平成25年現在)です。(別途診察料などがかかります)
治療に際し、予約は特に必要ありません。診察で紫外線治療が必要と判断した場合は、すぐに行うことが出来ます。
これまで、塗り薬中心の治療で十分な効果がなかった方は、ぜひご相談ください。

(※VTRACは一度に照射できる面積が小さいので、体の面積の10%を超えるような広範囲の乾癬には対応困難です。乾癬の面積が広い場合は、症状の重い部分に限定して照射するか、全身への照射が可能なナローバンドUVBの治療機器を持つ市内の医療機関へ紹介するか検討する必要があります。)

 

チガソンによる治療

塗り薬で十分な効果が得られなかった患者さんで、VTRACが受けられない(もしくは効果が不十分だった)方には「チガソン」の内服治療を検討します。
チガソンの効果と副作用は先に説明した通りですが、有効性に関しては当院で提供できる治療のなかで一番だと評価しています。
従来の治療で効果が不十分だった方はご相談ください。

 

その他の治療

補助的に保湿剤を使用することがあります。また痒みに対してかゆみ止めの飲み薬を処方することもあります。
漢方薬による乾癬治療には対応しておりません。

リンク集

乾癬の会(北海道)
http://www.kansen-hkd.com/

日本皮膚科学会の乾癬に関するQ&A
http://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/index.html

乾癬について

豊富温泉は有効ですか?

有効のようです。詳細なメカニズムは分かっていないようですが、わたし自身が関わった多くの患者さんの実例からも一定の効果があると考えています。苫小牧からは遠方ですが、数日かけて湯治に行かれる方もいらっしゃいます。

原因を調べる検査はありますか?

乾癬の発症メカニズム自体が十分に解明されていませんので、原因を調べる検査も見つかっていません。治療により症状を抑えることを第一に考えることをお勧めします。

かゆくて困るのですが、どうしたらいいでしょうか?

乾癬でもかゆみの強い患者さんがいらっしゃいます。塗り薬などの治療で乾癬の発疹そのものを抑えつつ、かゆみ止めの飲み薬を服用するといいでしょう。かゆくて掻き壊してしまうと、乾癬と湿疹が入り混じった状態になり、さらにかゆみが増してしまうおそれがあります。

いつごろ治りますか?

個人差があるので一概には言えませんが、長期的に治療を続けていくと症状が徐々に軽くなり、ほとんど症状がない状態になることもあります。自然治癒することもあります。
根気よくスキンケア、体調管理、治療を続けていくことが重要です。

子供に遺伝しますか?

乾癬は遺伝病ではありません。
ただし、乾癬になりやすい体質は遺伝することがあります。親が乾癬の場合、通常より乾癬の発病率は高くなる傾向があります。

乾癬は人にうつりますか?

うつることはありません。プール、温泉の利用も問題はありません。

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