一般皮膚科

白斑(しろなまず)

白斑とはこんな病気

白斑とは

白斑(はくはん)とは皮膚の一部の色が白く抜け落ちる原因不明の皮膚病です。
別名「しろなまず」とも呼ばれます。
皮膚の組織の中で、メラニンと呼ばれる黒い色素を作る能力が低下することによって生じるとされます。
大半の患者さんは皮膚だけに限定した病気ですが、一部の患者さんに甲状腺機能障害など自己免疫障害が見つかることがあります。

※白斑は正式には「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」と呼ばれます。
「尋常性」とは「普通の」という意味で、単に「白斑」と言えば「尋常性白斑」を指します。

 

白斑の患者数

正式な統計データはなかなか見つかりませんが、日本の白斑患者さんは人口の1~2%程度と言われます。
全国で100万人を超える方が、白斑に悩んでいらっしゃる計算になります。
20代ころの発症が多いとされますが、各年代に広く患者さんが存在します。
男女差は、ほとんどないようです。

 

白斑の症状、分類

白斑は突然体の一部の皮膚の色が白く抜けてきます。発症後徐々にその範囲が広がり、まだら状の白斑が融合しながら大きな塊になっていきます。
症状の違いによって、限局型、分節型、汎発型などに分類されます。

限局型は数個までの発疹が限られた場所に生じます。
分節型は顔面の左右片方など、神経の流れに沿って、皮膚の一部に生じます。
汎発型は左右にまたがり、体の広い範囲に白斑が広がるものです。摩擦などの刺激を受けやすいところに多く見られます。このタイプは免疫の異常を伴うことが多いとされます。

 

白斑の原因

いまのところはっきりとは分かっていません。
・自己免疫疾患説
・神経説
・遺伝説
などがあります。

 

白斑に似た皮膚病

白斑によく似た皮膚病がいくつかあります。

老人性白斑
早い場合は20代から体に直径数ミリの白い斑点が生じ、年齢とともに数を増していきます。色素細胞の活力低下によるもので、白斑(尋常性白斑)とは異なる皮膚病です。

脱色素性母斑
先天的に皮膚の一部で色素を作る機能が低下した状態です。生まれたとき、または生後間もなくから症状が見られることが通常の白斑と違うところです。生涯発疹の分布する場所に変化はありません。
外見的には白斑と類似しています。「いつからあったか」「形や場所が変化したか」などを手掛かりに診断します。

サットン母斑
色素性母斑(ホクロ)の周辺の色素が薄くなった状態です。白斑に類似した白いあざの中央に、よく見ると小さなホクロが見られることがあります。

単純性粃糠疹(はたけ)
小児の顔に丸いカサカサした発疹が生じ、色が白く抜けてくる状態です。色の抜け方が不完全で、発疹の外縁も不鮮明です。

本当に白斑なのかどうかをしっかり見極めることが、治療の第一歩になります。
専門の皮膚科医に相談するようにしましょう。

 

白斑の悩み

免疫の異常などが見つからなければ、白斑は皮膚だけに限定した病気です。
生死にかかわるものでも、他人に伝染するものでもありません。
よって、幼稚園や学校での生活、仕事、スポーツなどに制限を加える必要はありません。

しかし、白斑という病気への理解は、世間一般ではまだまだ立ち遅れています。
顔や手など、他人から目につきやすいところに白斑がある場合、知識のない人には「異形」と映るかもしれません。まして無邪気な子供同士の会話のなかで、友達から白斑のことを指摘された小さなお子さんの心痛はいかばかりかと思います。

白斑は、かつて有効な治療法がなく、生死にも直結しないので、医療の世界でも重要視されてこなかったように思います。
しかし、患者さんとその家族にとっては「心が痛む」つらい病気です。
「白斑」=「心の痛みを生じさせる病気」
われわれ医療者はそう認識すべきだと思います。

より効果的な治療法の開発が待たれるのと同時に、社会の「白斑」への理解が進むことを願わずにはいられません。

白斑の治療法

白斑にはいろいろな治療法が試みられています。
多くの治療法があるということは、決定的な治療手段がない難病であることを示しているとも言えます。
日本で行われてきた主な治療法を紹介します。

 

ステロイド外用治療

副腎皮質ステロイド外用剤を患部に塗る治療が、以前から行われてきました。
発症初期には有効なことがあるようです。しかし長期に使用する場合、皮膚が薄くなったり、毛細血管が赤く浮き出てくる現象が起きたり、ニキビが出来やすくなったりするなど、副作用が問題になることがあります。

 

活性型ビタミンD3外用剤(ボンアルファ、ドボネックス、オキサロール)

乾癬などの皮膚病に適応のある活性型ビタミンD3外用剤が白斑に効果があるとされます。症例報告も多く、一定の有効性はあるようですが、保険適応がないため使いにくい薬剤です。
(※当院では白斑の治療目的での処方は行っておりません)

 

タクロリムス外用剤(プロトピック軟膏)

アトピー性皮膚炎に適応のあるプロトピックが白斑に効果があるとされます。紫外線に対する配慮が必要な薬剤です。また白斑では保険適応がないので、実際の診療現場では使いにくいのが問題です。
(※当院では白斑の治療目的での処方は行っておりません)

 

フロジン液・セフォランチン錠

円形脱毛症の治療に適応のあるフロジン液(外用剤)、セファランチン錠(内服薬)が白斑の治療に昔から使われてきました。
確実な効果があるとは言えませんが、患者さんによっては有効と思われることがあります。当院においても、定期的通院が難しいため紫外線治療に踏み切れない患者さんに処方することがあります。

 

PUVA(プヴァ)療法

メトキサレンローションを外用後、紫外線(UVA)を照射する治療法です。照射する波長が単一ではなく、治療上あまり有効でない波長の紫外線も含まれま す。患部周辺の皮膚の色素沈着が強く生じる傾向があり、患部とその周辺の皮膚の色のコントラストに問題が生じることがあります。

 

ナローバンドUVB

311nm(ナノメートル)の単一の波長の紫外線を照射する治療法です。あらかじめ外用剤を塗る必要がなく、患者さんの手間とストレスを減らすことができます。
週に2,3回通院しながら、数週間から数カ月治療を継続します。
全身型の照射装置を使用すれば、広い範囲に白斑が分布する場合でも短時間で1回の治療が終了します。
有効率も高く、50~70%の患者さんに顔や頚部では75%以上の色素沈着が見られるとされます。(平均治療回数は50回~100回くらいのデータが多いようです)
汎発型の白斑で治療範囲が広い場合は第一選択の治療法です。各地域の基幹病院、総合病院の皮膚科に導入が進んでいます。

※当院にはナローバンドUVBの設備がありません。代わって最新のターゲット光線療法機器(VTRAC)がございます。全身の白斑など、当院の設備で対応が難しい患者さんには、ナローバンドUVBの設備がある医療機関を紹介するようにしています。

 

エキシマライト(ターゲット光線療法)

308nmの単一の波長の紫外線を照射する治療法です。ターゲット光線療法とも呼ばれ、白斑の部分のみに強いエネルギー照射を行うことが出来ます。従来型の機器の100倍以上の出力があり、皮膚のより深い層に治療効果を及ぼすことが出来るとされています。
従来の治療法では、白斑以外の部分にも紫外線が当ってしまうことによる光老化や発がんのリスクが問題になりました。ターゲット光線療法の場合、患部以外へ の紫外線照射を最小限に抑えることができる利点があります。リスク(最小限の危険)とベネフィット(十分な効果)のバランスのよい治療法だと言えます。

 

手術療法

分節型の白斑で症状が固定している場合、ミニグラフト法、吸引水疱蓋移植などの手術療法が選択されることがあるようです。医学論文を検索すると、神戸大学や名古屋市立大学での臨床研究の報告を見つけることができます。

 

化粧品(ダドレス、カバーマークなど)

患者さんの心の痛みを緩和するため、白斑の部分に人工的に着色を施す対処法です。
根本的治療法ではありませんが、社会生活上のストレスを減らすのに有効な手段です。

「資生堂 パーフェクトカバー」
「グラファ ダドレス」
「カバーマーク」

上記のキーワードでネット検索してみてください。通販で入手できるものもあるようです。

 

ハイドロキノン、レーザーなどによる脱色

広範囲の汎発型の白斑で、治療により改善がみられない場合、患者さんの希望により残った皮膚の色素を薬剤やレーザーで脱色し、色のコントラストを少なくする手段を選択することがあります。

以上、日本国内で行われている知りうる限りの白斑への対処法を紹介しました。
治療法に悩む胆振地域の白斑患者さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

ターゲット光線療法とは

白斑の病巣のみに紫外線を照射する治療がターゲット光線療法です。
現在国内で実用化されているのが、エキシマレーザーとエキシマライトです。
このうちエキシマライトは、塩化キセノンの放電用ガスを充満した石英管から放出される308nmの準単色光を高出力で出すシステムです。

 

ターゲット光線療法の特徴

単一波長の紫外線を高いエネルギーで放出するので、高い治療効果を期待できます。その強さは、従来型の機器の100倍以上と言われます。
患者さんが大きな照射装置の中に入って光線を浴びるナローバンドUVBと異なり、ターゲット型の場合は小さな発光端子を患部に直接押し当てた状態で光線を照射するので、患部以外の皮膚への不必要な紫外線照射を最低限に抑えることができます。
データ上も白斑に関してナローバンドUVBと同等かそれ以上の有効性が示されています。

その一方でいくつか欠点もあります。
ターゲット型の場合、一度に照射できる面積が小さいので、全身に白斑が分布する患者さんは一度の治療に長い時間を必要とすることになります。
また小さな端子をずらしながら照射していくので、照射に「重複」や「すき間」が生じる恐れがあります。
最適なエネルギーよりも弱い場合は治療効果が乏しくなりますし、過剰な場合は発赤が長く続いたり、軽いヤケドを起こす恐れがあります。

 

ターゲット光線療法の有効性

最新の治療機器であるターゲット光線療法照射機は、ようやく国内の導入実績が100施設を超えたところです。
治療のプロトコル(レシピ)も標準化されておらず、大きな母集団のデータはあまりないのですが、徐々に治療経験が蓄積されてきています。
そうしたデータのなかには、週2回で12週間(計24回)の治療で、62%の患者の患部に色素沈着が見られた、という報告もあります。

治療効果はどうやら治療期間ではなく、治療回数に左右されるようです。
同じ24回分の治療効果を得るには、週2回なら3か月ですが、週1回の場合は約半年ほどかかることになります。
可能な患者さんには、出来るだけ週2回ペースの治療をお勧めしています。

治療経験の多い先生たちの実感としては、顔や首の白斑には比較的効果が出やすいようです。
一方、手の甲や指の白斑はターゲット光線療法によってもなかなか満足できる結果は得られないようです。

当院の白斑治療のながれ

当院の白斑治療を紹介します。

 

診察

まず問診にて症状の経過を把握します。
いつから、どこに、どのような発疹があったか?どのように変化してきたか?
これらと診察(視診)の所見を合わせて検討することで、患者さんの症状が白斑なのかそれ以外の状態なのかを判断します。
汎発型の白斑の場合は必要に応じて血液検査を行うこともあります。

 

治療計画

白斑という病気の概略、おもな治療法を説明したうえで、それぞれの患者さんの状況に応じた治療法をご提示します。
当院においてはターゲット光線療法が中心になります。
その他、内服薬、外用薬による治療も行っています。

 

通院と評価

患者さんのプライバシーに配慮しつつ、出来るだけ患部の記録写真を撮らせていただいています。
後日、患者さんの皮膚症状と記録を比較することで治療の効果を評価します。
評価をもとに患者さんとその後の治療計画を練り直していきます。

 

指導料の算定について

「尋常性白斑」は慢性の皮膚病です。日常生活や治療上の注意事項を診察の中で繰り返しご指導させていただきます。そのため保険診療のルールにのっとり、月 に1回、「特定疾患指導管理料」を再診の際に頂くことになっています。3割負担の方で300円の負担(1割負担の場合100円)をお願いしています。ご了 承のうえ通院いただきますよう、お願い申し上げます。

ターゲット光線療法の流れ

当院のターゲット光線療法を紹介します。

 

初回治療

MED(最小紅斑量)を測定しない簡便な方法で治療を開始します。
機器の最低出力である50mJ、またはその倍量の100mJから照射を開始します。
必要に応じ、患部周辺に日焼け止めクリームを塗ってから照射することがあります。

 

照射量の調整

治療後24時間以上48時間以内の範囲で照射部に発赤が生じた場合が適量の照射量です。
発赤が生じなかった場合、または24時間以内に発赤が消えた場合は次回の治療のエネルギー量を増やします。48時間を超えて発赤が持続した場合は、照射量を減らします。
100mJまでは10mJきざみ、それ以上はおおむね10~20%単位で照射量を増減します。
患者さんには患部の皮膚に発赤が生じたか、それがいつまで持続したかを観察していただくことになります。
治療に最適な照射量を維持しつつ、週2回を目標に治療を継続します。

 

治療のゴール

24回の治療を一応の目安とします。
この時点で一定の改善が見られた場合、さらに治療を継続します。
改善が見られなかった場合は、この治療を継続するか否かを患者さんと相談します。長期の治療になると、ターゲット光線療法でも患部での紫外線の照射量の累積が大きくなるので、リスクを慎重に評価しながら判断します。
白斑の面積が半分以下になった場合、十分な治療効果があったと評価します。それ以降の治療を続けるかは患者さんとの個別の相談で決定します。
多くの患者さんは白斑の面積の縮小が見られますが、完全には消失しない方も多くいらっしゃいます。それだけ白斑は難病であると言えます。

 

 

当院でのターゲット光線療法の治療例
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白斑について

当院のターゲット光線療法(VTRAC)についてのQ&Aをまとめてみました。

治療以外に、普段どんなことに気をつけたらよいでしょうか?

白斑の周囲の皮膚が日焼けすると、色のコントラストが目立つことがあります。あまり日焼けをしすぎないよう日焼け止めなどを上手に使用しましょう。
また白斑の一部は、刺激や摩擦で拡大するものもあります。患部を擦りすぎないよう気をつけましょう。

他の皮膚病にも効果がありますか?

白斑以外に、乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎などに有効です。特に乾癬では、白斑より少ない回数で改善が見られます。

長年白斑が消えません。いまからでも治療できますか?

白斑の紫外線治療は、発症から長い年月が過ぎると効果が乏しくなる傾向があります。
本来なら発症後の早い段階で治療を始めるのが望ましいのですが、数十年を経た白斑がターゲット光線療法で改善した例もあります。いまからでも治療を試みる価値はあると考えます。

子供の白斑も治療可能ですか?

数秒から数分の治療の間、じっとしていられるお子様であれば治療可能です。
紫外線のリスクは慎重に判断する必要がありますが、ターゲット型はこれまでの紫外線治療に比べリスクの低い治療法です

手の白斑にも有効ですか?

手の甲、手の指の白斑は最も治療が困難です。ターゲット光線療法でもほとんど効果がない場合もあります。
しかしナローバンドUVBで改善しなかった白斑が、ターゲット光線療法で改善した例もありますので、治療を試みる価値はあると考えます。

どれくらいで効果があらわれますか?

24回が一応の目安ですが、早い方は12回くらいで改善が始まるようです。

治療費用はどれくらい必要でしょうか?

3割負担の方が再来で通院する場合、1回あたり1,260円程度の自己負担が必要です。
(初診の日、投薬があった日、月一回の指導料を算定する日、その他の治療を行った日は額が増えます)

早く改善させたいので毎日治療を受けたいのですが?

治療後の発赤の状態を観察しながら、適切なペースで治療を進める必要があります。
当院では治療間隔は「中2日」以上とし、週2回を目安に治療を行うようにしています。

通院は週2回でなければいけませんか?

治療効果は治療回数で決まるようです。長期の治療になるので、出来れば週2回を確保したいところですが、週1回でも対応します。

予約は必要ですか?

特に必要ありません。通常通り受付して下さい。

1回の治療にどれくらい時間がかかりますか?

紫外線照射口のサイズは6cm×3cmです。1回の照射は数秒(1~10秒)です。小さな白斑の患者さんの場合、治療自体は1分もかかりません。
患部が大きかったり、数が多いと照射口をずらしながら数十回照射することもあります。その場合でも5分程度で終了します。

治療に痛みは伴いますか?

照射中の数秒間、ほのかな温かさを感じる程度で痛みはありません。

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